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日々のタワゴト                  

放水

▼2019/11/03(日曜日)

朝から夫は濡れ縁やベランダの木を外したり、猫階段も外したりまとめたり、ガガガ、ガガガと働いていた。金属の棒を切断するとき激しく火花が散っていて怖綺麗で見とれた。お父さん眼鏡をかけないと危ないよ、と色眼鏡を渡した。ブルースブラザーズのように私もツナギを着てやりたかった。

週明け辺りから外壁張替えが始まる。

が私は友人らと出掛けることになっていた。

芸術鑑賞という案と温泉という案がありその場の流れで決めることに。

何かで気持ちが動いた話などを夫にすることはまずないので、昨日の偶然の講演体験について、それと親子断絶の経緯について語ってしまった。

一昨日のK松センセのGISTERS講演。消化器官間質腫瘍のステージについて腫瘍径10cmを超えた場合、ほぼ確実に再発するということや、その多くの患者の余命が五年以内であるということなど分かってはいても楔を打ち込まれたような感じでもあった。無論例外も多々あり三年でグリベックを休薬する標準治療を超えて飲み続け七年十年と生き延びて下さい。事例は多々あります。というようなフォローはあったのだが。もう一つの希少難病NETについての話の後、休憩。

用を足して戻ってくるとき小さな表示板に気付く。吉藤オリィさんの講演が二階で始まっているではないか!会場ココだったのか!SNSで札幌にいらっしやると知ったけれど、患者会とぶつかるから行けない。と場所のチェックをしていなかったのだ。

質疑応答を控えており瞬時迷ったものの(この偶然は行くしかないでしょう)とバッグを取りに戻り二階へと向かった。

もう講演は三分の二以上終わっていたけれど、充分刺激的な内容だった。ALSの方などが分身ロボットオリヒメを使って労働したり、元教頭先生が卒業式に参加したり出来ていた。それは、自宅のパソコンで仕事をするのとは違っていた。あたかもその人がそこにいるかのように本人も周りも感じ、場を共有出来ていた。

何ヶ月か以前に、とあるテレビで「孤独をなくする」ことが目標という青年の番組を知り、(あり得ないだろ)が(えっ!凄い!出来てる!)に変わった。

自身が三年半の不登校を経験し天井だけを見ていた孤独をこの世からなくしたい、とドン・キホーテのように分身ロボットを製作し、実用化する姿は尊かった。相方となった盛岡在住の事故による脊椎損傷で四歳からの病院に住み続けている青年番田さんと二人が立ち上げた会社は目覚ましい事実を積み重ねていた。

比喩ではなくザザザ、ザザザっ!と何度も全身に鳥肌の波が立った。


https://youtu.be/UC0p4-MTRgA


いつか行ってみたいカミーノ巡礼が病状で間に合わなかったとしても、オリヒメをレンタルして誰かに託すなり、リレーしてもらってゴールの大聖堂までの道程を辿ることだって不可能じゃないのかも!

極めて深刻な話であるのに、笑い(彼の衣装である黒い白衣も笑いの中心となった
)溢れるお話振りで、ハンサムで本当に素敵であった。

車椅子の若い女性が「いつか空を飛んでみたいのですが可能ですか?」と問いを投げかけると、オリィさんは力強く「全然可能です!すでにドローンで実現しています。法規制が厳しくなって問題はありますが、クリア出来ると思います。」と鮮やかに答えた。皆の心に青空が広がった。

質疑応答で学生さんが黒い白衣の白いの欲しい、と言い、ラストの札幌イチゴ会副会長も「車椅子用黒い白衣作ってください」と挨拶を〆笑顔で講演は終わった。


✳︎

美味しい蕎麦を食べ静かな温泉に入り他の友人らの近況も聞けて良い時間を過ごせた。

その只中に会社からの電話があり冷や水を浴びるかのようではあったが。

今月はまた例年より忙しいのに検査の月。クリアするとは思うが背面痛や怠さが気になっている。術後ずっと続いていた軟便や下痢は整腸剤でかなり良くなってはいる。来年も仕事は出来るんだろうか?前倒しの年金を小遣いに専業主婦という道もある。

GISTは10万人に一人か二人しか発症しない希少な病であり、一般的なガンとは違いどのように終末期に至るのかがイメージしにくい。

第二層第三層の抗ガン剤はより副作用がキツく、その多くが手足症候群にかかるらしい。足の裏や手が爛れ痛み、その為に服薬を中止せざるを得ない人が多いらしい。つまり間違った細胞増殖のスイッチを切る分子標的薬を飲めないことは再発や播種転移に繋がる。

申込段階で質問したのもその辺りのことだった。再発から入院への流れ。基本は個々の事例によるというアンサーだったとは思うが答えは聞けていない。ごめんなさい。

そして…私も黒い白衣が欲しい。