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日々のタワゴト                  

凄い人達 湯治旅一日目

▼2019/10/22 火曜日

昨夜は持っていくモノを大まかに揃えてコロコロに山になった状態で寝た。ほぼ眠れなかった。

五時に覚醒。ひとしきり網の波乗り。腹をくくり起き上がる。荷物キッチリ入れると入らない。必要とされている大判バスタオル2枚、ブランケット小、スポーツウェア三着、フリース、下着4セット、本4冊、風呂道具、化粧品、薬、保険証他。

コロコロを閉じること能わず。

木綿のパーカーを諦めた。自分が正座でスーツケースに乗っかり辛うじて閉められた。

夫の弁当を作り、その残りで軽く朝食。ファンデーションのみ塗って時間一杯。出ようとして「餞別は?」「ないよ」「えー!ないの⁈気持ちだけでもさー」とモタモタ待ってるうちに時間になる。なんだい。ちゃんと用意してるんじゃん。とっとと出してよ。オトウ!アパまで車出してくれれる?送ってもらう。

8時に出たがバスは15分遅れた。でも多少余裕をもってたので大丈夫。

搭乗口に入ってから空弁やビール、チョコレートの誘惑を(ここで北海道満喫してどーする!?)と我慢。朝ご飯足りてないぢゃん。アナウンスを待ってる間に「◯◯さんいらっしゃいませんか?当機は◯◯さんのみをお待ちしております!」と流れて来て冷汗が出た。明日は我が身。

機内では、宮沢賢治の『ひかりの素足』をもう一度読んでみた。

シルクのよな、肌理の細かい繊細な文章。吹雪の中亡くなる楢夫が大いなる存在と邂逅する物語だ。

法華経にのめり込む賢治が命と引き換えに救われることが凝縮されている。かと言って教条的ではなく魅惑的。此れを好きと言った人の簡単には見せない清らかさを感じる。

そして着いた。

到着口から出ると真正面にレンタカー屋さんがあり名を告げると少し離れた場所に引き摺られ車を渡される。小さい女の人が居て?と思ったけど、小さい女の人ではなく小学生だと気付く。そか。あの日だった。

早速車を走らせる。杉、生えてる。柿生ってる。ワタシヨロコブ。(内地だわ!)

広くて寂しくなりそうな童話村はパスして啄木賢治青春館と、賢治の生前に唯一本を作ってくれた光原社へ。学生時代や二十代に仙台の大学に行っていた友人らと来て以来。

懐かしい。懐かしいけど高級になっている。

輸入ものばかりの衣料雑貨に身悶え。可愛い木の匙と飾りボタンなど買う。店員さんにこれらは現地に買付にいらっしゃるのですか?と問うと「流石にケニアには行けないので東京で買っています。でも光原社の目で選んでいます」の台詞にシビれた。マジかっこいい。柳宗理さんの素敵なカーブのスプーン、フォークなども購入。

賢治の原稿や作文、肥料の設計書などに感動した。(でも『銀河鉄道の父』を思い出し、良いところだけの人は居ないんだな、とも思う。啄木も同様だ。清らかな魂で放蕩。

柚木沙弥郎の賢治版画もテキスタイルも本当に洒落ている。青を基調とした文箱なども欲しかった。焼き物も葡萄蔓の超高級籠も曲げわっぱも欲しかった。でも私が使っても間違いなく台無しにするし!

併設の珈琲屋でミルクティと胡桃クッキー。

夜は吉田類居酒屋。もちろんアルコール解禁。

面白そうと思った一軒「おばちゃん」は休みだった。残りは美味しいが虫がゾロゾロ出て来たり(席を蹴って立たなかった自分を褒めたい)、郵便物の山がコールタール塗れになっていたりした。カウンター隅で串を打つおじいさんを見て、車谷長吉の『赤目四十八滝』を思い出したりもした。いやいや。小説を書いてる雰囲気は一個もなかったけど。なんかじいちゃんめんこくて、安かった。炭の香りの焼き鳥も美味しかった。ただ、どうやって保健所の検査をくぐり抜けているのだ?の疑問が抜けなかった。

ちょっと清潔なとこで〆ようと網玄という居酒屋に行った。白子の天麩羅完璧だった。意地を張って分不相応な梯子をしたため食べ切れず飲み切れなかった。満腹禁止なのにバカだった。まーらいおんになりたくないから。