形 かゆ・し(ク)
皮膚を掻きたいような感じである。宇治拾遺物語1「―・き所もいでくる衣なれば」。日葡辞書「カユウゴザル」。「痛くも―・くもない」
―○痒い所へ手が届く
こまかな点まで行き届く。
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「 皮膚を掻きたいような感じである。」が“痒い”の説明になっているのか、はなはだ疑問。
さらに「家庭医学大事典」も調べてみたが、なるほどという説明は見あたらない。
噂によると“痒い”は“痛い”の親戚らしい。 小さいちいさい痛みが“痒い”なのだと聴いた。
第一子を妊娠中に激しい痒みに襲われた。膨らんだ腹部の表面が堪らなく痒い。皮膚科に行ってみるが「掻痒疹」ですね。というだけで、対処療法だけである。「掻痒疹」とは何かというと、病変がないのに痒い状態だという。あんなに痒いのに。
気が付くと掻いているのだ。夫は掻くなと言って手をどけたり、軽く叩いたりする。こんなに痒いのに。
「もっと酷くなるから」という理由で「掻くな」というのが表向きの理由だ。
でも、これは嘘だと思う。“掻く”という行為は、見ている者を不快にさせる。そもそも“痒い”は説明の付かない“なんとなく”の状態であるだけに、原因がなくても沸き起こることがある。
つまり「他人が掻いている→自分まで痒い感じ」を呼び起こすのだ。いらいら、むずむず堪らない。
その妊娠を期に、体質が変わってしまったのか、アトピーの症状が時々起きる。化学繊維や、柔軟仕上げ剤、汗をかくなどの刺激で湿疹が出る。
今夏は暑いので、今両股がやられている。時期が来るとケロリと直るのだが、今は痒い。あー、痒い。だまって掻かせてくれ。