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日々のタワゴト                  

《遍路12日目》 民宿浜吉屋~ふかひれはま~かかみ宿

12/8  日
 
  昨夜の宿は、お婆さんが三人の宿だった。どのお婆さんが主人で、どのお婆さんがパートさんなのかは分からない。というかどれが誰か区別がつかない。もしかしたら三つ子姉妹かもしれない。6番宿坊以来の繁盛ぶりでお客さんも、全部で8人位いた。だが、ご飯はどこで何時から、とも、自分の部屋はどこなのかも案内されなかった。宿泊費が特に安いわけでもない。怒りそうだったけど自分で火種は消した。
 
  7時過ぎ宿を出た。今日も歩いて歩いて歩いた。
 
第一休憩の時、姉に電話。…今朝方、父が死に大泣きする夢を見たのだ。父は来月再検査があるけれど、元気だった。そして、K町は、ここ二日雪が降り続いているとも語っていた。
 
 
 

 
大きなフカヒレ型の砂浜を見下ろすベンチに腰掛けた。青い青い海を見て疲れを癒していた。
 
お遍路経験のある地元カップルに声をかけられ、ゆずジュースをお接待戴いた。。スポーツウェアに身を包んだふたりは今日、マラソンの大会に出ていた御様子。女の子は、「あ、これも」と、やなせたかしのイラスト入り「手のひらに太陽を」の歌詞カードをくれた。やなせ先生はこの界隈の出身らしい。どうせなら、アンパンマンのテーマの方がおばちゃんは好きだけどね。あたしゃ、お嬢ちゃんが生まれるよりずっと前から、アンパンマンを見ていたんだよ。アンパンマンが、もっと顔小さくてスマートだった40年前から。『詩とメルヘン』でさ。と思いつつ。
 
湾の向こうの山々が幾重にも重なって見えている場所があって、これこれ。これがやなせたかしのイラストによく出てきた山脈だよ。そう思って写真を撮ったけれど、肉眼のようには写せなかった。
 
足も慢性疲労が重なっているのか、楽勝ペースだったはずが、後半1/3は 、相当辛かった。纏足されているようだった。
 
むげげうげげ。むげげうげげ。と、たどり着いた場所は普通の民家の佇まい。そうか、あの様に懇切丁寧に場所を説明したのも頷ける。でないと見過ごした。
 
非常に生真面目で上品な小母様に案内されて普通の家のお部屋に入った。お婆さんもいらした。すぐ向こうに二人の気配。私は観念し「このようなお宿と知らず雑でザワザワした民宿のつもりで、持ち込みのお酒を持って来てしまいました。ゴメンナサイ。夕飯の時も注文しますから、飲んでもいいですか」と正直に懺悔。
 
普通のお風呂を上がり、イッパイ飲みつつ待つ間も、今はあれを作っているな、と匂いや音で分かるのが面白かった。
 
心尽くしのお料理は、どれも美味しかった。頼んだビールが減ってくると、お部屋にある分を持ってきますか?冷やしますか?と言われ恐縮。
 
後半、奥さんが落ち着いた頃合いで、どうしてこういう事を始めたのですか?と聞くと、子育ても終わり、父も亡くなって寂しいので、二年前に登録してみたんです。とのこと。「登録」とは、へんろ道保存委員会の組織のことだろうか。私は、その本と地図を見て予約の電話を入れたのだ。なにかと大変でしょうね。ご自分が出かけることもままならないでしょうし。そんな糸口から、お話を伺った。
 
突撃インタビュアになるはずが、酔って自分ばかり喋ったかも。でも、次第に奥様も方言が出てきたりしていたので、楽しんで会話して下さっていたと思う。貴重な体験型の宿泊であった。
 
浜吉屋 発07:08
 
かがみ宿 着16:20
 
42184歩      33.4km