▼9/2 金
午前バイトの終盤、突如として空は見たこともない茶色がかった灰色になった。あれは嵐の前触れ?それとも火事?と思うと同時に叩きつけるような雨が落ちてきた。ワイパー最速。前照灯点灯。Yさん宅前で車を停め合羽を上着のみ着用。結束バンドで締めただけのメール便を袋に入れ指定場所の車庫へ置きに行く。運転席のドアを開いた時点で両足がドバババっと濡れた。走って置いて走って車に乗る。(ひゃあー。きたかー。きやがったかー)濡れたくはないけど、一度ここまで濡れた日にゃあ開き直ることができる。吸血鬼理論と命名。へん。ガンガン降りやがれい。
あと二件。最後のMさん宅では奥さんがワザワザ受け取りに来た。「やーー!大変ですねーー!」「いえいえ。でも今日は、もう、きっと外出ない方がいいですよー」と言いつつ車に乗り帰宅。
玄関で合羽を干して靴下を脱ぐ。ドンドン全部脱ぎながら階段を上る。全裸になって洗濯機に衣類を放り込む。そして、はだかん坊のまま鰈の煮付けをチンしたり、温泉卵を器に入れたりサラダ菜をちぎったりの準備。着衣。昼食。
階下に降り『恩寵』の続きを読む。
途中10分程寝たが、読み続けあと10頁くらいのところでアラームが。
悩んで身支度をして歩く。合羽のズボンは着用せず。蒸れるし、シャカシャカいうし。
道路脇の雨水桝にドンドン雨が流れ込んでいた。そして、そのうちの一つではシャバシャバチョロチョロ…という素敵な音が聴こえてきた。暇だったら、傍に立って聴いていたと思う。水溜まりに反射する信号の赤と青は、ゆらゆら〜と美しかった。
お話は、ほしおさんのおっしゃる通り、『夏草のフーガ』と双子のような感じだった。入れ子細工的な構造もそうだし、キーとなるものが手工芸であり、それがある種の殉教的な行為であったりする点も。視点が度々変わったり、やや分かり難い部分もあったけれど、様々な植物(の名)や「書」「文字」といったアイテムも、非世俗的な登場人物も私には好もしい。家族の謎を追い自分を取り戻すという流れも終始ドキドキと愉しませる。他の作品も探してみよう。でもタイトルは改題前の方がいいと思った。
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