▼6/4 月
夏のようだった。
定形外が多いので大区分を手伝っていたところH木さんに
「あ、S藤さんわるいけど一件走って」と、郵便物を二部渡される。
宮崎駿夫の映画に出てきそうな・・・、と形容したことのあるK嶋クンが
「あ、その人目の見えない人で、すっごく口が悪いから注意したほうがいいよ」
と、注意してくれた。
住所を追って建物は難なく見つかった。呼び鈴を押す。しかし、音が聞こえない。はて?鳴らなかった?
と、もう一度押すと中から罵声が・・・。
「こらーっ!オレに怪我させる気かぁ!?慌ててものにぶつかって、転んだらどうするんだー?」
と、ドアが開く。ビックリして平謝り。
「申し訳ありません。鳴らなかったのだと思ったものですから・・・。本当にスミマセン」
女だというのが判ったせいか、急にコンマ2秒ほどニッコリして、口調がやや和らいだ。
それでも、くどくどと文句は続き
コチラはぺこりぺこりと頭を下げ辞す。
車に戻ると、またもやキーの閉じこめをやってしまったことが判明。ドッと冷や汗。思い切って丁度、配達先のマンションから出ていこうとしてる青年を呼び止めた。振り返ると、唇に三本安全ピンが刺さってる方だった。一瞬ひるんだが事情説明をし、「なにか平たい物差しのようなモノありませんか?」というと親切に部屋に探しに戻ってくれた。なかなか出てこず、「やはり適当なものがありませんでした」と済まなさそうに言ってくれた。とりあえず公衆電話を探してみた。電話は某コンビニチェーンの前にあった。でも、なんとか自分で開けられないか!?ひとまず太いカッターナイフを購入して試すが、如何せん歯が短い。次に、工事現場の方に声を掛けた。事情を聞き、エライ人は、「おい!」と若いモンに声を掛け見に来てくれた。いやぁ道具がないとねぇ。ということで、構えの古い燃料屋さんのガラス戸を開けて「すみませーん。金尺ありますかー」と切々と訴え、おじいさんが道具箱から出してくれた。
そして格闘3分。鍵は開いたのだった。
助かったーー。十数分はロスしたのだが、皆通常業務に忙しく、何も咎められることはなかったのだった。