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日々のタワゴト                  

ひとりで食べても

▼9/19 9/20

新藤兼人監督の遺作「一枚のハガキ」を見た。

大竹しのぶという人は、天才なんだと思う。何年前の舞台でも、スルスルと台詞が出て来ると聞いたことがある。そして、アノ激情の表現。あれは、きっと普通の女優にはできない。どこかで美しく見せたい意識が自動制御装置となり、働いて、あのようにけもののようにアラレモナイ叫びは出来ないのだと思う。それも天才の一端なのだと思う。

心に残ったのは、戦地にいる夫へ妻が送った一枚のハガキの言葉。

今日は お祭りですが
あなたが いらっしゃらないので
なんの風情も ありません

筋金入りの左翼思想の監督百歳のメッセージは、随分とナイーブで優しい表現を纏って描かれた。

読了メモ

生きるぼくら

生きるぼくら

ひきこもりの青年が母の家出をきっかけに、十数年ぶりに父方の祖母を訪ねる。そこで彼は、祖母の稲作を手伝い生き生きとした生活を取り戻す。概略を知っていたからと言って、物語の面白さは損なわないと思う。率直に書けば、キッチリと落ちが付き、まとまり過ぎている作風と言えなくもないと思うけれど、とても引き込まれて読んだ。身体を動かして、成果が目に見える生業というのは、そうそうない。農業って、生きている実感が感じられる良い仕事だろうなぁ。と思った。・・・ら、巻末に日本農業新聞に連載された小説であると記されており、まんまと術中にハマった自分を笑う。



映画と本とを見て、大事な人には、言える時に、ちゃんとメッセージを送るべきだよな。

そう思って夫に

「今日、鮭の飯寿司が届きましたが
 お父さんがいないので
 一切れだけ味見して冷凍庫に仕舞いました。」

というパクリもろばれメッセージを送ったけれど
我ながら詰めが甘い。

一切れだけ味見したけれど、お父さんがいないので美味しくありませんでした。

そう書くべきだった。でも、一人で食べても美味しかったのだ。

海抜一〇〇〇メートルの地にいる伴侶は、札幌より涼しいよ(^^)
と、珍しく返信を送ってきた。