■ 日 日 夜 夜 ■

日々のタワゴト                  

あおぞらにちようび



▼10/7 

目を開いて、そうか今日は休日か、休日なのだからまだ起きる必要はないのだよな、と隣に寝ている夫に押しくらまんじゅう押されて泣くな、的コミュニケーションをはかる。脚の上に足を乗せて毛むくじゃらのザリザリを味わう。大口を開けて右肩に顔面を押しつけ生暖かい息を吹き付けて暑がらせる。忍法玉つぶしなどと云ってタマタマを握ってみたりもする。そこに人間が起きた気配を察知した猫がやってくる。そうして奴は戸ーー開けろーー。おいーー聞いてんのかー戸ー開けろよーーなどと、布団叩きを持った引っ越しオバサンのごとくにしつこくしつこくアジリ続けるのだ。なので夫は、すぐさま毛玉だらけのスエットパンツを身につけてストンと起き上がりベランダへのドアを開け放つ。茶トラ模様のTotoは、(わかりゃあいいんだよ、と)身軽にひらりと外へ飛び出してゆくのであった。

超寝起きの良い夫は、そのまま新聞を取りに行き起き上がった。私は今しばらく起きてはなるもんか、と布団の中でyomyomを読む。誰のなんという作品かを知らずに、ある短編小説を読み始める。やたらに元気で答えが分からなくても「ハイハイ」というような小学生が主人公だった。そいつは学年が変わって、初めて担任に嫌われる。教師に冷ややかに見られることで、彼の中で徐々にナニカが変わってゆく。奇妙な肌触りの小説であった。読み終わって、ふむふむ。一体コレは誰が書いたのだろうかな。と最初の頁をめくると、なんとそれは重松清であった。へぇ〜〜。と意外な印象。『ナイフ』で出会った頃は入れ込んだ作家であったが、次第に、ちょっと熱すぎる色調にたじろいで、遠ざかっていた。彼がこういう作品も書いていることに分からないものだな、と思った。

しかたなく起きて、二階に上がる。冷蔵庫を開けて水を張ったボールに入っている栗を出す。夜中に起き上がり台所の隅にいるシジミをみて


「夜が明けたら

ドレモコレモ

ミンナクッテヤル」

鬼ババの笑いを

私は笑った。

と書いたおりんさんを思い出したりしながら、栗たちを研いだ米と一緒に炊飯器に入れた。

当初はキノコ汁だな、と思っていたのだが、そうだ、今日は札幌マラソンの日だ。ハーフなんだしカーボローディングだ。と、予定を変更して餅を買いに出た。コンビニのそれは薄いのが9枚で441円と高めの価格設定だった。出汁をとった鍋に大根人参ネギなどを入れて餅を焼く。

バイオリニスト三人の鼎談番組を見てご飯を食べる。昨日の肉じゃがも温めた。炊きたての栗ご飯、雑煮、肉じゃが・・・充実の朝食だ。

Kが起きてきて、(お父さんはハーフマラソンだよ)、(ふーんハーフって何?だっけ)、(おまえさんハーフだもの何?さ)、(えと22点えとえと)、(はじまった。公文式行くかぁ?)

なんて会話を交わしKはバタバタと学祭に出掛けて行った。

そのうちYが起きてきて、洗面台の前にて、まるで再現フィルムのように

(お父さんはハーフマラソンだよ)、(ふーんハーフって何?だっけ)、(おまえさんハーフだもの何?さ)、(えと21点えとえと・・・)というお馬鹿な会話をする。

高専祭をささーーっと見た。作品コンペでは、娘らのロゴデザインもキレイだったが、ヘンゼルとグレーテルのパロディ飛び出す絵本と、ピタゴラスイッチが見事であった。

急いでマラソンの応援に駆けつけようとするが道が混み混み。往路にはまったく間に合わず、迂回して巨大本屋駐車場に停めて河原に出る。招待選手らの一団が過ぎて、スタートから1時間ちょいで夫もやって来た。Yと「マー坊!」と叫ぼうかなどといっていたが、つい夢中で手をメガホン型に口に当てて「おとーさーんがんばれー」と無能に平凡に声援したのだった。めずらしく夫はニコリとして左手をヘンテコな形にひららと振って駆け抜けていった。

車に戻るついでに本を眺める。詩集の棚の前に陣取り次から次へと詩集を取り出しては、そのよそよそしさ、山月記ぶりに棚に戻す繰り返し。ついつい二冊購入。漢字のパズル本と『官能小説の奥義』官能小説の奥義 (集英社新書)

「めがね」のインタビューの載ったパピルスという雑誌も椅子にかけてじっくりチェキ。

夜は、Yと二人、ランウェイ最終戦見つつ、まだまだなくならない栗を剥き続け、再びクリご飯。七輪で秋刀魚。これがなかなか難しいモノで、未だに「会心の出来」と、思えたことはない。だが旨かった。

生協にてユニセフ募金古本展で、南伸坊『対岸の家事』森繁久弥『アッパさん船長』。各50円。

Kを拾いにゆくと、クラスでやった「もののけ姫」の仮装が最高賞を取ったと喜んでいた。そーかそーか、そりゃあ良かった。と労う。