■ 日 日 夜 夜 ■

日々のタワゴト                  

<ストーブ【stove】>p.1296



 石炭・石油・ガス・電熱などを用いる暖房装置。

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 十四日は寒かった。気温としては14℃くらいであったが、なにか寒々しく感じた。二子が風邪をひいていたこともあり、今シーズン初めてストーブを焚いた。焚くといっても石油暖房であり、「焚く」の字に申し訳ないような気がする。


 私が小学校の低学年くらいまでは、普通の家庭では石炭ストーブが一般的だった。学校も同様だ。

 石炭運びは学校では日直の仕事。この年代の人間は誰でも味わった石炭小屋の埃っぽさ。石炭の山からスコップで学級備え付けの石炭箱に入れる。セッセと運んだら鼻をかむ。見事に真っ黒な鼻の中。ころあいを見計らってジュウノウ(ストーブ用の小さなスコップ)石炭を「くべる」のも、日直の仕事。(担任によっては 先生の仕事)休み時間になるとストーブの周りは憩いの場。

 必ず上靴をストーブにくっつけてゴムの匂いをさせるワルがいたものだ。プーンと臭うと「まった誰かやったな」なんて思った。タライのような蒸発皿の水で給食の牛乳を温めてくれる先生もいた。

 教室の隅は大抵寒い。しかし、集まるべき場所があったのは幸せだったかもしれない。そこでは、いろいろな会話が交わされた。猥談だったり、人生だったり「うちのおとうさんはパンツをはかないで寝るんだよ」という話だったり。(なっざだか小六の時の、Fちゃんのこの話、妙に覚えている)

 考えてみると今の子には、冬が寒いものだという実感がないかもしれない。朝起きると、もう居間は温かいし、学校もセントラルヒーティング。ここぞ!という皆の集まる場所もないだろう。

 石炭ストーブってお母さんみたいな場所だったかもしれない。