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日々のタワゴト                  

<うろ‐おぼえ【疎覚え】>p.241



確実でない記憶。「―のせりふ」

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 うろ覚えという言葉を、うろ覚えしていた。

本来は「うつろに」(⇒「うろ」)覚えていることだ。それを、つい最近まで「うる覚え」と覚え込んでいた。

 勘違いの原因は「うろ」を「潤む」の語幹と混同していたこと。

<うる・む【潤む】>には

 「色や形があざやかでなくなる。

 しめりけを帯びる。「目が―・む」

 涙声になる。」の意味がある。

 そこから「あざやかでなくなる」→ぼんやりするということ。と思い込んでいた。

 ことばひとつでも長いこと(40にもなるまで)頑固に他人と違うイメージを持つことがあるのだ。更に曖昧なものの捉え方などになると、見えない齟齬(そご)があちらにもこちらにもあることだろう。

 そのうるうるとした、ぼんやりとむなしい世界で対話をするのは、霧の中で宝探しをするようなものだろうか。