確実でない記憶。「―のせりふ」
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うろ覚えという言葉を、うろ覚えしていた。
本来は「うつろに」(⇒「うろ」)覚えていることだ。それを、つい最近まで「うる覚え」と覚え込んでいた。
勘違いの原因は「うろ」を「潤む」の語幹と混同していたこと。
<うる・む【潤む】>には
「色や形があざやかでなくなる。
しめりけを帯びる。「目が―・む」
涙声になる。」の意味がある。
そこから「あざやかでなくなる」→ぼんやりするということ。と思い込んでいた。
ことばひとつでも長いこと(40にもなるまで)頑固に他人と違うイメージを持つことがあるのだ。更に曖昧なものの捉え方などになると、見えない齟齬(そご)があちらにもこちらにもあることだろう。
そのうるうるとした、ぼんやりとむなしい世界で対話をするのは、霧の中で宝探しをするようなものだろうか。