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日々のタワゴト                  



 今までに見た星で、一番美しかったのは石垣島で見た星。浜辺に座って友人とずーっと見ていた。流れ星が、次から次へと墜ちてゆく。願い事をしようとか、いう気持ちもしだいに失せるほど荘厳な光景。

 それ以上に見た状況で印象深いのは、友人宅に集合した、ある雪の日のこと。計画的に行ったわけではなく、誰かがその場で言い出して、それは始まったのだった。

 十代のいい若い娘どもが、友人宅のお母さんやお父さん、弟、お姉さんらの防寒具を借りて始めてしまった発作的穴掘り。

 友達の家の前には2メートル以上の雪が重く積まれていた。最初は雪山の上から掘りはじめ、最後に横穴を開通させ、かなり大きな 穴ができあがった。どう考えても正気の沙汰ではない。

 さて、そうなるとこの素晴らしい穴を活用しない手はない。と、なり、北海道人が何かというと食べるジンギスカンである。桜の花見にまでやるか?と「内地」の人に(道産子、風流解さず!)と見下されてしまうジンギスカンである。

 おじさんに頼み、ブリキのストーブ煙突付きを出してもらい、買い出し班は「ときわ」でジンギスカン等を調達。

 いつの間にか外は暗くなっている。肉が焼け、ビールは氷り、ウイスキーも氷った。おじさんが裸電球のソケットをずるずる引っ張って用意してくれた。これ以上に旨い酒があろうか?純粋には氷りかけたビールは美味しいわけはないが、あの満足感たるや最高のつまみである。何を話したのか、すっかり忘れてしまった。雪洞を作った状況も細部は記憶違いがあるかもしれない。

 でも、とにかく星は美しかった。他人(ヒト)はそう言わないだろうが、私たちの馬鹿さも、ある意味では星より密かに光っていたのかもしれない。

 あれから・・・かまくらジンギスカンは 恒例化したが、あの無茶苦茶が一番楽しかった。

星は変わらず、我々は倍の年齢になってしまった。

昨日の読書: あさのあつこ著『バッテリー』(教育画劇)は、お勧め。

主人公は今度中学一年生になる野球少年、巧(たくみ)。その弟の病弱な少年青波(せいは)そして二人が引っ越した先に住んでいる太っ腹で優しい豪、彼ら の織りなす話。以下ストーリーですので読みたくない方は☆以下へ飛んで下さい。

 父の左遷に伴い巧の家族は母の郷里に引っ越しをする。巧は、人並みはずれた投手の才能を持つ。毎日、自ら課したランニングも欠かさない。、強い兄に青波は憧れる。

 青波は野球をしたいと言い始める。アレルギーや、喘息を持ち、いつでも母に「優しく」庇護されることが段々と負担になってきてる青波は、いつになく真剣だ。元高校野球監督のじいちゃんも青波の味方だ。

 引っ越し先であった豪は、医者の家に生まれた野球少年。巧に出会って、野球魂を再燃させた豪は、小学校までで野球は卒業と考えていた母と衝突する。彼らの周りには、他にも進学のために野球を断念させられた者がいた。

        ☆      ☆      ☆

 子供を傷つかせたくない一心で、あるいは「将来の子供の幸せのために」子供たちを傷つかせ苛立たせる母親たち。それらの重圧をぶちこわしたい少年たち。

 読んでいる自分は、青波になり、巧になり、母になり、豪になる。

 人として様々な感情がせめぎ合っている。比喩ではなく、とにかく胸が締め付けられる。

 おとなは分かってくれない!!と爆弾を抱えていた自分も、今では心配しいのお母さんだ。ちょうど、昨日も友人らと「(黙って見守っていよう)と思ってるのに、手とか口とか出しちゃうんだよねぇ。と話してきたばかりで身に積まされる。

 せつないけれども、暗く落ち込むんじゃなくて、ラムネみたいに痛気持ちいい話。とにかく好きだ。II・IIIを早く予約しなくては。