昨日は、靴、ザック、充電器、灯など、乾かして乾かして乾かして。
そして7時20分、藤井寺にある登山口から出発。無論、覚悟の遍路ころがしながら、わかっちゃいるけどキツイキツイ。始まりは、急な階段の連続。試合開始早々にジャブだフックだチンだ!という感じ。
眺望が開けているところで吉野川のキラメキを眺めたり娘と話したりで痛さを紛らわせる。
長戸庵にて休憩。
とにかく登る。
途中の汲取式トイレにて「小用のみお使い下さい」と書かれていて笑う。無論、両方溜まっておる。何処でウンチをしろと?アホか。
次第に雪が強くなり、所により雪だるまが作れるほど積もっている。
娘は私に気を使いながら登っていたけど、気がつくと随分と先を歩いている瞬間もあった。
こらーっ!ココは姥捨山かーっ!
と、叫ぶ。振り返った娘がにひにひと笑う。
何しろ登って降りて登って降りて登って。だ。
そうこうするうちに柳水庵。手前にトイレ。用を足し、下にある小屋の前で休憩。坂を降りて座ってから腰痛ベルトをトイレに忘れたことに気付いた。しかし、今更、登る気はなし。運良く、娘がトイレに行く、と言い出す。
「悪いけどお母さんさ、さっきベルトを忘れてきたんだよね。持ってきてくれる?と、お願い。
助かった。
そこから、 更にひと登り。
なんだかんだで午後1時半前後にお寺には到着。お参りをして納経所に行くと、昨夜宿におられた方々が既に到着し、賑やかに話しておられる。
そこで、しばらくストーブの前に陣取り温まっていると、フランスからの女の子もやってきた。
クレイジーウェザー!
と言うと笑って頷いてくれた。
そして下山。登りは登りでキツイし、下りもまた膝、腿に負担。
なんとか下りきった頃には、まさに墨絵の世界となる。
すだち館に到着してみれば、店が観光の人でごった返ししている。我々の前にも部屋に案内されるのを待つ人やらいっぱい。いつの間にか、泊まりの我々が接客する始末。サツマイモを袋に詰めたり、なんだり、なんだか面白かった。
ひと騒動終わって部屋に入り、お風呂の用意をしておじさんの運転で神山温泉へ。塩素くさいけど、ジャグジーなどで疲れは癒えた。
エレベーター前の絵が、何か新鮮爽やかで気に入った。
夕飯の時には、また女将さんの珍しい話を伺った。
野宿の若い女の子を泊めたら、その子には背中一面の刺青があった。話を聞けば、元ヤクザの情婦であったのだ。その子は、まだ二十代前半で関係を断ち切るために遍路旅を始めたのだと。荷物は五穀米、コッヘル、塩、寝袋。お接待のお金にも一切手をつけず、なんと88箇所を、わずか12000円で回りきったと。
酒、タバコ、薬を断ち、自分への挑戦を試みたのだと。
戻ってきたときは、ガリガリにやせ細っていたらしい。その後も福島にボランティアに行き、すだちの収穫の季節には毎年手伝いにやってくるのだという。
そんな子がいるなんて、凄いなあ、と素直に感心。お会いして話を聞いてみたい。と思ったことだった。