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オノレを0.5ミリ動かしてみる。即チ

▼11/27

シアターキノにて観た安藤桃子監督『0.5ミリ』

及び幻冬社文庫『0.5ミリ』について。

(安藤サクラの演じる押しかけ介護ヘルパー山岸サワのきっぷの良さが小気味良いなぁ)というのが私の素朴な印象。

内容は、どちらかと言えば暗いエピソードの数々。最初の場面で出てきた木内みどりの家族も、一人暮らしで、他人の自転車タイヤに目打ちで穴を開けるシゲルさんも、自分より先に呆けてしまった妻を持つ生真面目な元教師。なのに後味が悪くならない。かと言って美談となることも巧みに避けられている。

一番良いのは、一般的には悲劇的と言われるであろう老人の状況についてサワちゃんがひとっつも悩んだりモヤモヤしたり同情したりしないこと。むしろ、それを食い物にする。しかも、彼らはサワと出会うことで死ぬまで生きるということをジワジワと受け容れてゆくように見える。そのとてつもないサワちゃんの触媒作用!あたしだってサワちゃんに「大丈夫だいじょうぶ!」と言われたら大丈夫じゃなくたって大丈夫なように錯覚すると思う。

映画では触れられていない、サワの過去や食い扶持を稼ぐための所業も彼女の一人称で語られる心持ちも映画を見ての微かな違和感を取り除くのに充分だ。どちらかというと私は小説の中のサワの方に好感を持った。

映画は昔のワープロでプリントアウトした文字のようで、ギザギザとした謎を抱えている。それでも老人たちを演じた織本順吉、坂田利夫、津川雅彦、柄本明、草笛光子は素晴らしかったし、主演した安藤サクラの有無を言わせぬ腹の据わった生きる力は圧巻。

マコトのちょっと詩的な読書癖や謎も本で初めて納得。

昨年から今年にかけて四国を歩いた自分は柄本明が乗った渡し船や宇佐大橋に大きく反応してしまった。歩くと随分長い長い橋だったよなぁ!と思ったけれど、車だって、ジェット機だって結局は同じだ。移動の時間を短縮したって生きてる間は生きるってことは、誰しも公平に与えられた恩恵であり苦行なのだよな。あたしだって生きるさ。。。色々まごまごゴツゴツブザマだけど。

そんな風に思わせてくれる映画であり、小説だった。

腹の据わった姐御でもあるけれど、「この道」を唄う歌声はとても清らか。あ、きっとこの人の本質はこの声のようなものなんだろうな!そう感じたのもホント。

津川雅彦に手伝わせて鯵を捌いてタレにつけ縁側で笊に干す場面、この道を唱和する場面がとても良い。

生活を大切に思われる監督が老人県の高知に移住されたというのも、知行合一で素敵なエピソードだと思った。腰を据えてくれたらうれしい。