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《遍路38日目》 民宿岡田〜66雲辺寺〜67大興寺~民宿おおひら

 

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▼3/5

 

やはり予報通り雨。朝食を摂って、A夫妻を見送る。自分も07:37出発。ショルダーはコンビニのレジ袋に包んだ。大きなリュックは、そのまま出ようとしたら、女将さんが「ちょっと待ってて」とゴミ袋を持ってきて下さり、うまい具合にハサミを入れて、背負えるようにして下さった。遍路宿のカリスマ的な、ここの御主人には会えなかった。どうやら体調が優れないらしい。昨日会ったおじいさんなどは「岡田さんは、弘法大師の次に偉い!」それ位、素晴らしい人柄だということだった。残念。

 

女将さんに見送られ歩き始める。何度振り返っても、まだ見送っていて下さり、その都度頭を下げる。笑顔の福々しい暖かい方だったなぁ。

 

夕飯の時にレクチャーを受けたように、道を曲がりドンドン歩く。そして、しばらく進むと建設屋さんのプレハブがあった。あれ?どうもおかしいぞ。と、思い道を尋ねる。やはり間違っていた。引き返し本来の道を行く。20分以上ロスした。宿でもらった地図に注意書きがあったとこなのに。バカ!

 

ひたすら山路を登る。苦しいけれど横峰寺の登りに比べりゃ、まだ楽。だが全身濡れて寒くなってきた。止まると冷えるので、ちょっと一服した以外は休まなかった。どこもかしこも濡れていて座る場所もないし。

 

一歩一歩登って、とうとう舗装路に出た。その道をトロトロ登り続けて10:15頂上に到着。見ればA夫妻のザックがある。着替えたりお詣りしたりで、時間がかかったのだろう。「Sさーん!早かったですね」呼ばれてしばし会話。再び、お二人を見送る。

 

霧の中のお寺を撮ったり、お詣りしたり。納経も済ませて、水が出なくて使用禁止のトイレでビチョビチョの衣類を取り換える。これで、かなり暖かくなった。

 

気を取り直して下り道を行く。登る時に見た看板の所に戻って矢印に従う。30分進んで、ヘンロシールが皆無。あれ?と思い始め、通りすがりの軽四のおじいさんとおばあさんに「この道は大興寺さんに出ますか?」と言うと「もう少し下って、学校の横から登るといいよ」と言うんで、素直に進む。だが、歩くに連れて疑惑の念が湧く。

 

通り過ぎた民家でキョロキョロしてるとお爺さんが作業していた。「すみませーん」地図を見せて、相談。どうやら、寺へは行けるが、30kmも先だというのだ。おじいさんも遍路道のことは分からないようで、とにかく車の経路で裏側の道に下りてしまったと判明。

 

雲辺寺まで車だと何分位?」「10分か15分やと思うよ」優しそうなお爺さんの顔の前でパチンと手を合わせると、ニコッと笑って「いいよ。乗んなさい」と近くにあった車を指差す。助かったー。1時間半も無駄にしてしまったが、とにかく雲辺寺駐車場に降ろしてもらって、再スタートだ。そうだった。そもそも人しか通れない山路を下りるんだった。情けない。ロープウェイ駅を通り過ぎて五百羅漢の前を通る。霧の中の羅漢さん達!めちゃめちゃ怖い!

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羅漢さん達の前でオニギリを一個たべた。

 

そして、荷物を背負い歩き始める。少しゆくと工事車両がズラリと並んでいる。作業をしている人たちの中に、青白い顔の人がいた。その方に「この道が遍路道でいいんですよね?」「そうです。もうちょっと行くと左に入る道がありますので。」良かった。最初から、誰かに確認すれば良かったのだ。自分は、きっと他者が怖いのだ。入り口で、大興寺まで9.6km。

 

遍路道は、濡れた落ち葉に覆われた階段状の下り坂。段差が膝に響く。極力階段の端の土が積もった所に足を置き、衝撃を受けにくいように工夫して降りて行ったつもりだった。しかし、土の上に下ろしたつもりの足は土留めの丸太にモロに着地したらしい。ツルっと、真横に滑り、私は杖を放り出し、もんどり打った。わずかに左足首に痛みがある。

 

そーっと触ったが折れたとか、捻挫とかという程ではないと思えた。

 

より注意を払い一歩一歩下りて行く。時折、距離の表示があるのだが、不思議なほど減らないのだ。狐に化かされてるかも、と思いながら急な階段山路を下る。後半少しばかり足が痛み出してきた。そうして2時間半も下った頃、やっと舗装道路に抜けた。

 

右の方からお婆さんが歩いてきた。

 

「雨の中、大変でしたなあ。御苦労様で御座います」深々と礼をされ、パッと心に火が灯る。ふたことみこと話して別れる。

 

そこで、残り4.1kmだったか。

 

躊躇なくスタスタ歩く。キツイ登りだってスタスタ行く。苔が生えたコンクリートの壁を削るように「大興寺→」と書かれていた。

 

早く早く早く。足も痛いし、疲れているので一刻も早く歩き終わりたいのだ。

 

民宿おおひらの看板が見えて、ホッとする。お寺は近くだが、荷物を置いてから行くことにした。玄関で物静かなオバサンに荷物をお願いする。宿の横の道を下る。疲れてくると道が平坦ではないところは足にくる。無縁仏の墓などに手を合わせる。角を曲がると山門が見える。1200年のご神木に圧倒されつつ階段を上ると山門。

 

お詣りを済ませて階段を下りて振り返ると木漏れ陽が美しく降り注いでいた。

 

宿は、私一人。全室禁煙。洗濯、乾燥機が無料。濡れたので、ほとんど何もかも洗う。

 

食事は二階。なぜか鏡張りのものすごく広いホールにアラジン一台。元はダンス教室だったとのこと。それなりの料理。缶ビールを部屋用含め二個頼む。発泡酒だが300円。宿泊代含め6600円支払う。大人しいおばちゃんだが話しかければ、訥々と応えてくれる。元々の主人も、その娘も病気になって、ピンチヒッターのつもりが五年経ってしまったとのこと。

 

夜、一々着込んで玄関前に出て一服。  

今日は、宿を近くに設定し過ぎた、と思っていたのに、二時間のロスでちょうど良くなってしまった。悔しい。

 40482歩

24.28km

363分