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日々のタワゴト                  

オモシロカナシミズムの日々

▼〜3/1

雪が降ったかと思えば晴れ、晴れたかと思えば雨になり、雨の後には雨返し。

このところ須賀章雅『貧乏暇あり 札幌古本屋日記』を読んでいた。

ブログも拝読してはいたが、こうしてまとまると良いものだ。

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

その日常は、といえば、主に本に埋もれて本の隙間で暮らされ、ネット等で受注した本を探しに探し、発送し、時折は御同業関係のアルバイトを行い、飲みに出掛け…。というもので、淡々としている。だが、それがいいのだ。「Maxvalue」にての買い物が仔細に「牛乳168円、モヤシ2、米ホシノユメ5キロ一四四〇円、酒2リットルパック798円」などと記述されているのが非常に良い。

武田百合子の『富士日記』も買い物について書かれている部分が好きだ。『仰臥漫録』は、「菓子パン六個牛乳五勺」なんて部分に惹かれる。そういう細かいことの繰り返しに情趣や可笑しみがある。「普通」に生きている私は、得てして「破天荒」や「紆余曲折」に、憧れる。けど、現実とは荒涼たる原野を歩くようなもの。そして、食べて、見て、読んで、寝て。。。著者は自虐的に自身の生活を描くが、私には、とても幸福な生き方に思える。本、本、本、そしてまた本ときどき酒。そんな生活。この方と生活を共にされている奥様もまた本の世界に造詣の深い方らしい。寝言で「マンセーマンセー」と叫んだ夫須賀氏に「やっぱり君は北朝鮮のスパイだったんだね」と冗談交じりの疑惑を掛ける場面や、飲んでゲロ吐く夫に「あああ。なんだってそんなんなるまで飲むかねぇ」(不正確です)と、いうクダリとか魅力的。だからこそ一緒に居ることができるのであろう。それにしたって、寝る場所が確保できずに押入れで交代に寝るって、そんな。。。なんにしたって、市井の人間の日常は皆どこか滑稽で悲しい繰り返しで、そんなスルメのごとき味わいが素敵だ。

昨日映画に行く折、読む本がなくて出久根達郎『逢わばや見ばや 完結編』を引っ掴んだのは、この本の余情であろう。そして再読し始めると、やっぱりオモシロイ。バスよ、まだ着くなよ。と思ったことだ。遠い昔、本好きに鉄板なのは本の本と猫の本と読んだ覚えがある。

ライフ・オブ・パイ』 アカデミー監督賞を獲ったアン・リーが「ブローク・バック・マウンテン」の監督でもあることを知って見に行く。動物園を経営していった一家が移住する。その際に、救命ボートに乗った少年の漂流物語。同乗者はシマウマ、オラウータン、そしてトラ!なにしろ視覚効果賞も受賞した作品だけに映像の美しさは類をみないものだった。だが、××の島に漂着したあたりで???

「みなさん、さようなら」http://minasan-movie.com/index.htmlこれは愉しかった。この監督とは、「アヒルと鴨のコインロッカー」で出会ったが今回も濱田岳とのタッグ。マンモス団地で母と暮らす少年は、ある日「ぼくは一生、この団地の中で生きてゆく」と決心する。中学校には行かず、朝起きて筋トレし、ランニングし、食事の後片付けをして、団地の見回りをする。大山倍達に私淑し鍛練する日々。アーケード街のケーキ屋に就職し、恋も団地の中の子と。そして、少年が団地で暮らす決心をしたいきさつが明かされて・・・。演技力、というよりは、この役者の持っている、そこはかとないオカシミとカナシミの風合いが生きているのだと思う。隣の少女 松島を演じた波瑠、DV男を演じた田中圭も好演。唐突に流れた挿入歌がエレカシで感激した。

夫が28日から不在。ひとりを満喫して、ほいほい遊んでおる。