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日々のタワゴト                  

うたかたの記

▼2/6〜2/16

某日:日帰り温泉へ。代休の夫、長女、孫と供に。平日の日中だけあって、大部分がお年寄り。次々と見ず知らずの方に話しかけられる。小さな子を連れていると、よくあることではある。みな一様に目を細めニッコリと微笑んで覗き込み、頬に触れ、頭を撫ぜて下さる。触られること相撲取りの如し。ありがたいことだ。

某日:夫に送ってもらい「人生ブラボー!」という映画を見に。

 若い頃、度々精子バンクに提供することで小遣いを稼いでいた男が、ある日突然、自分の血を分けた子どもが何百人と存在することを知る。その内、百名以上の子が、父親を知りたいと訴訟を起こす。そして…。という話。

以下、ネタバレなので反転。映画をこれから見る方は注意。
主人公は、おりしも恋人が身ごもったことでスッタモンダの最中である。、それぞれの子のプロフィールが彼の元に送られてきた。彼は自分の身を明かさずに、次々と子どもらの様子を見に行く。麻薬に溺れる娘を救い、ストリートミュージシャンの息子の演奏を何日も見に行き、プール監視員の息子の働くプールで泳ぐ。障碍者施設にいる息子の介助をし、息子のウケない観光案内を毎日聞きにゆく。 

ラスト、新しい命が祝福され、赤ん坊は兄や姉、多くの周囲の者たちに笑顔をもたらす。

数日前の温泉でのことも胸をヨギル。生れた以上、死に行くしかない私達は、か弱い命に触れると(時には、それは動物たちだったりもする)愛しさと切なさと心強さと…(あまりに古!)で、笑顔になる。

みんな流れ星みたいなもんだもな。そりゃ綺麗だし、あっけないし。

得体のしれぬ頭痛に疑心暗鬼の週でもあった。

今週は、月曜日以外はずーーーっと夫が在宅していた。嫌いってわけでは、、、ないのだが、なんか疲れが抜けませぬ。が、やたら雪が降ったし一日中雪はねをしていた事には感謝汁。なんまんだぶ〜。

★★★

読了本:abさんごひらがな多用の横書き表記は古典を読んでいる時のように非常に読み辛い。文学少女が苦闘の末たどり着いた美意識の切り取り方だと思う。そして、読みづらさは、意図されたものであり、存分に時間を掛けてこれを堪能して欲しい、という事なのだろうとも感じた。脳裏に像を結びにくい、この文体そのものが、--淀みに浮かぶうたかたは かつ消へ かつ結びて…---という無常の世界に繋がっているようにも思えた。

スタッキング可能abさんご』と同じ早稲田文学に掲載されたこの作品は、実に対照的。こちらは漫才の応酬の如くスピーディーに読むべき小説と思えた。章立ての仕掛けも気が利いてるし、独特の「笑い」も現代的。(いい人見つけちゃった!)と思ったが、後半はちとダレ気味。こちらのコンディションの所為かも。

カリコリせんとや生まれけむ (幻冬舎文庫)注目の現代アートの旗手にして、奇人。読んでいて時々イラッとするもののキレキレだ。奇人(イイ意味です!)は愉し。

色川武大・阿佐田哲也エッセイズ〈1〉放浪 (ちくま文庫)ナルコレプシーという病を持つことでも有名なギャンブラー作家の生い立ちから人生観まで。奇人(イイ意味です!!)は愉し。2と3もあるとさっき気付いた。そのうち読もう。