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日々のタワゴト                  

ながながとすみませぬ

偶然に気象通報を聴いてしまうことが間々ある。

「○時○分になりました。気象通報です。気象庁予報部発表・○月○日・○時の気象通報です。石垣島では、北東の風、風力4、天気は曇りで、気圧は1016ヘクトパスカル、気温は21度でした。那覇では、北北東の風、風力3、快晴、15ヘクトパスカル、22度。 ・・・ 浦河では・・・根室では、・・・ ウラジオストクからは入電ありません。 ・・・」という調子。

頭の中では、気象衛星から地球を見るような光景。しかし、それも一瞬のことで、私の意識は情報それ自体はスルーし、読み上げる人の声に向かう。

「なんで1をイチーっていうかなぁ」とか、「無駄に声良いよな」「これ読んでる人って、定年退職したアナウンサーかな。」「孫とかには、『おじーたんでちゅよー』とか言ってるんだろうな」などと興味の方向は「人」。音楽を聴こうが、絵を観ようが、道を歩こうが「人」。これは、もう病なのかもしれない。

つまり、私には人ってもんが、永遠に解らないんだな。

*

前に日記を書いてから一月近くも経過してしまった。その間、読んだ本を思い出せるだけ…。

ふくわらい64(ロクヨン)絶倫食 (新潮文庫)督促OL 修行日記閉経記

西加奈子『ふくわらい』:主人公「鳴木戸定」は人の顔を顔として認識できず部品とみなす。頭の中で、その部品を自在に置き換えて遊ぶ(?)という奇妙な人。対人関係が極めて希薄。職業は編集者。その彼女が眼鼻口の配置がズレているプロレスラー守口廃尊や、盲目の男に出会い、徐々に変わっていく。奇天烈な設定奇天烈な展開ながら、惹きつけられた。読み終わって考えてみると他者を受け入れられない者が、「先っちょをちょっと入れて」自己という独房から脱獄する話なのだと思う。

横山秀夫『64ロクヨン』迷宮入りしそうな誘拐事件が時効を前に動き出す。腕利きのデカが「広報」という畑違いの場に移動させられ、刑事部と警務部、D県警と中央との板挟み、妻や家出した娘の問題に葛藤しながら「真実」へと向かう。分厚い本ながら読者の気を逸らせない警察小説。読者は読んでいる間中息苦しい。早く、早く息をつかせて!と読み進めるジェットコースターノベル。たまに、こういう系統の本も良い。本の隅から隅まで蔓延してる加齢臭にチューイ。

小泉武夫『絶倫食』正直これはイマイチ。世界各地津々浦々の精が付く食べものの話。9割が入手困難なモノで学術的レポートを砕けた感じで書かれたものを読む感じ。日本で普通に入手できる食材で「へえ」と思ったのはイチジク。イチジクだそうです。試してください。マムシ、ハブの生血も本当に効くらしい。したけど、おらやんだ。

榎本まゆみ『督促OL 修行日記』信販会社の借金催促係の過酷な日々。死んでもやりたくない。借金王の人々との物凄いバトルの日々。周囲が次から次へと討死してゆく様もヒドイ。

伊藤比呂美『閉経記』私と著者との出会いは、通称『ぱす!』と呼ばれていた詩集。大学を辞める時、全ての本を売り払ったので、今も手元にある本としては多分最古参の部類。裏表紙の裏に1981.6.5と鉛筆で書込んでいる。何十回と読んでいるので、今、背表紙の色あせた本を開き、一篇目の「水道橋」という詩を読み返すとほとんど自分のアルバムを眺めているようだ。ともかく感想は置いといて、三十数年前の自分にわーぷしてくる。ぴゅ〜ん!

しかも更新しようとしたら『abさんご』と『スタッキング可能』書き忘れてるし。また、そのうち。