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日々のタワゴト                  

雪虫を見た

某日:雨の配達の日にホンの数分雨が上がり、数匹の雪虫がちらりほらりと自転車の周りを飛んでいた。

某日:是枝連続ドラマ「ゴーイング・マイホーム」初回 拡大版を見た。初めは、映画的な、ゆっくり過ぎるテンポとか、笑い、キャッチーなシーンが足りないことが気になった。(これ、出演料の高そうな山口智子とか、いっぱい使ってるけど大コケしちゃうかも・・・大丈夫ですか是枝さん。)そう思ったのだけれど、後半にトントントンと次への興味を惹くネタが出てきて面白そうになって終わったので楽しみにしていた。今日が第二回と思っていたら、サッカーでドラマはなかった。来週を楽しみにしていよう。

某日:実家へ。昼食の準備が出来て父を呼びに行く。肩をトントンとすると目を開け、「おお?おお。(来たのか?という表情)」「ごはんですよ」と布団を捲って父の手を引く。半身を起こし、少しの間ぼーっとする。「あかんぼ、どした?」「うん。元気だよ。ドンドン大きくなるよ」うなづく父。「ユッチは?」今でも、この幼少期の呼び名を使うのは父だけだ。「頑張って働いてるとさ」また、うなづく父。今度は、さっきより頷きが多い。六回くらい。「トイレは?」「する」ポータブルトイレの座面を開けふたを取って、父を立たせる。自分でパジャマとパンツ式紙おむつを下げる。見たかないがチンチンも見える。椅子の肘掛に手を突き腰かける。ぷすー、とおならが出る。ややしばらくしてチョロチョロと水音がする。便器代わりの変形バケツにフタをする。父の腰にそっと手を当てながら、左手でバケツを持つ。テーブル横に父を座らせて薬を飲ませる。合間に、さっきのおしっこを始末する。バケツを洗い流す。

手を洗って、父の手も拭き、食事。豚丼とスープ。少なく盛ってあるご飯を、多いからと更に小皿に取り分ける父。

「おいしい?」「ほれスープも飲んで」などと姉に言葉がけされながら。うなずいたり首を横に振ったりしながら、ゆっくりゆっくり食事を終え、食後の薬を飲む。少しの間、一緒にテレビを眺めて口をゆすぎ部屋に戻る。

姉夫婦がいる間に夕飯の買い物をした。姉たちが出掛け、父のそばでのんびり本を読もうとしたら下の姉も来た。しばし近況報告。そして車で送る。夕飯は鴨鍋と刺身。「また刺身か〜。」と見るなり文句。そして鍋も汁を啜って「全然味しないぞ」という。充分な味なのだが、めんつゆを足して納得させる。ダッシュ村をちょっと見て、歯磨き。そして寝室。


某日:目覚めるとスタンド側に体を向けて妙な姿勢。左肩が痛いな。と思う。たまにあることなので、そんなに気にしない。父が目を覚まし布団で胡坐をかく。「お腹空いてないかい?御飯もう少しだと思うけど、藤井さんのシュークリームつまむかい?すごくおいしいよ」「いや、いい。コーラ取ってくれ」と話してる内に呼ばれ、朝食。

某日:帰途に就く。ボリュームを下げたり上げたりで、左手を上げようとするが、力が入らない。無理にあげると、やけに痛い。どんどん痛くなってくる。これは自転車のハンドルを握るのは危ないな。肩掛け鞄で歩いてやろう。そう思って、一時半帰宅。だが、あまりにも痛い。もう腕をぶらんとするだけでも重みで痛い。これは、オカシイ。病院行かなくちゃ。と思い販売店に、その旨伝えて病院へ。かなり待たされて問診。X線撮影。先生が写真を見せながら「この白い影わかりますよね?カルシュウムが固まって間接にピタッと付いちゃってるんですよ。カルシュウム結晶って言うんですけど、まだ大きくないのでヒアルロン酸ステロイドの注射で症状を抑えて、痛み止めと石灰分を溶かすお薬を出しますので様子を見て下さい。とのこと。どのくらいの間痛みますか?んーー。人に寄るんだけど一週間くらいかなり痛む人が多いですねぇ。そして注射。じわーーと薬が入り、ずーんと痺れるような重い鈍い痛み。服薬後、一時間くらいで痛みが和らぎだす。が、夜中、また痛み出す。座薬使用。

某日:「ETV特集 永山則夫 100時間の告白〜封印された精神鑑定の真実〜」(2012年10月14日)
を見た。精神鑑定を依頼された医師「石川」との278時間に及ぶ聴き取り調査のテープを中心に彼の「死刑執行」までの裏側を丹念に描く。非常に重い衝撃を受けた。二審で無期懲役だったものが、最高裁で覆され、判決文では、あの分厚い精神鑑定書は完全に無視された。本人が、この鑑定書を読んで、「自分のことが書いてある気がしない誰か別の人のことのようだ」と発言したのも鑑定した医師を失望させた。石川医師は、この鑑定を最後に、臨床の道を選ばれた。

誰だってこういう育ち方をしたら、健全な心ではいられないだろうな。と重い気持ちで思う。母親もまた親に捨てられた子供であったという部分も暗澹たる気持ちになる。あの永山死刑囚の朴訥とした声。「これが、本当に四人を連続射殺した凶悪犯人なのか?」と思った。

犯行当時未成年であり、その後は読み書きを勉強しながら、作家活動をする永山則夫。印税は被害者遺族に贈った他、ネグレクト虐待の母にも仕送りをし、カタカナ書きの手紙を死刑執行まで何通も送る。母が捨てられた子だと知って、永山は変わったのだという。

この死刑囚が事件を起こしたのは、本人一人の責任とは言い難い。どうも人が、その人であるという事は、本人の力だけで選べることではないようだ。人間って…自分が自分であるって、なんなのだろう。環境も遺伝子の力も凌駕するほど強い人間って、いるのだろうか。こうして書くと安っぽい言葉に思えるが、それでも自分は自分でありたいと思う。のほほんと、お気楽でありながらも、色んな人を見て死ぬまで驚いていたい。

※再放送は2012年10月21日(日) 午前0時50分

多くの人に見て欲しい。