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日々のタワゴト                  

生きててよかったの集い

深作欣二の葬式ではブルーハーツ1001のバイオリンが流された。

(やられた!)と思った。あの時以来、(もしも自分の葬式に好きな歌をかけて良いならどの曲がよいだろう)と考える。当初はブルーハーツのToo Much Pain をと思っていたんだが、思い直した。フラワーカンパニーの深夜高速がイイ!けど、曲調が魂の叫び過ぎて葬式という厳粛なものにはそぐわない。丁度間の良いことにTSUTAYAディスカスから「深夜高速―生きててよかったの集い」というCDアルバムが届いたので早速自慢のコードレスウォークマンに落とした。全15パターンの深夜高速……。


この街に来るまで聴きまくった。やっぱりオリジナルに勝るものはないのか?哀愁の斉藤カズヨシか?イヤ、ちょとエロい。ならば素朴な泉谷か?イヤ、メロディに無理矢理詰め込んだ言葉がオヤジカラオケだ。澄んだ声の潮音ちゃんか?イヤ綺麗過ぎる。GO!GO!7188の声も好きだけどな。葬式っぽさを欠くか。では、フラカンニューバージョンか?んーどんなものだろう?結局決め手がない。

又吉直樹の『第2図書係補佐』が酷くヘンでシックリくる。大切な一冊になりそうだ。帰宅したら、私の心に飛び込んで来た一節を引用しよう。

気になる本は手に取り裏の紹介文を読み、帯文を読み、ページを開く。するとそこに宇宙が現われる。どんどん活字が大きく濃くなっていき雑音が遠退き異世界が拡がる。動悸がする。深く息を吸い込まなければと解っていながらも眼は文字を追い、もっとくれもっとくれと指はページをめくる。「今だ」と思う。「この瞬間だ」と思う。日常でそのように思える時はそうそうない。その作家の名前や題名をいつまでも覚えておく。三百円の古本は安い。その値段で宇宙を買えるのだから相当安い。だが当時の僕には、その三百円が無かった。

私は、彼を同志として、あるいは先達としてリスペクトする。

この日記を書こうと寝床でケータイをいじっていたら、父は「なんかイイハナシ送らさってきたのか?」と言った。そして冷蔵庫の苺とキュウイを食べゴロンと横になる。たったそれだけの運動でゼーゼーと、息をしている。

父は、、、「生きててよかった」と思っているのだろうか。