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日々のタワゴト                  

花とおばあさん

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新聞配達先の広い花屋敷。階段を、おばあさんがゆっくりと下りてくる。
手にはトコロテンか何かのパックに濁った水の入ったもの。
「こんにちは。あったかくなりましたねー」
「うーん。花の世話でもと思っても、さっぱり体が動かなくてねぇ」

この方の「ご苦労さま」には不思議と心がこもっているなぁ。と、以前から思っていた。

この間、配達に来て会った時には
「ご苦労様(丁寧な、お辞儀)。がんばるねぇ。昔、私もやってたんだよ。もーう随分昔、十年ぐらい○クルト配って歩いてたの。この辺も家なんか少なくってねぇ。だっから、どっこでも雪漕いで歩いたんだぁ。おかげで体壊けちゃったさぁ。あんまり無理すんでないよぉ」
そんな話を聞かせてもらった。

なるほど、そうか、と合点がいったのだった。

おばあさんは、農家の方が被るツバ広の帽子を被り、ゆるゆるとお花畑に歩いて行った。階段の上から見ると、百合やシャクナゲやツツジと、帽子を被ったおばあさんは一体化していた。