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日々のタワゴト                  

THE れ 言



▼10/6

「ねぇ。今日の肴がイベリコ豚の生ハム、しかもベジョータであることにはナニカ意味があるの?」彼女は、そういいながら彼女と同じ年に生まれたワインを飲み干した。

パルマハム24ヶ月カンティーナ熟成(骨付き原木) 1本 44.000円〜ではないのには意味があるよ。」

「なに?」

「君に贈る薔薇をガラスの仮面を思い出して紫にしてみたものでね、予算が少々足りなくなった。それだけさ」

「シーー。ともかく、このハムもワインもワタシの口を幸福で満たしたわ。さあ、次は、果たしてあなたの接吻でそれを私に与えられるのか実験してみて頂戴」

そういいながら彼女はキャミソールの右の肩紐をはずした。乳頭の陥没した白い胸がキャンドルの炎で揺らめいて見えた。はて?この場合唇を奪うのが正しいのか、あるいは素直に乳房に口づけるべきなのか、私の脳味噌は瞬時に答えを出そうとした。しかし、情報は整理されずに回線がショートし私は、星飛雄馬なみに長い一瞬を、ただ立ち尽くしていた。しかも半開きの口を開けたままで。彼女は言った。いいのよ。冗談を真剣に吟味したりしないで。まったくokkaの脳味噌ったら私のココ(と、いいつつ自分で陥没乳首を指差し)と同じで酷く陥没しているんだから。笑っちゃうわ。フフフ」最後の笑い声はカタカナの活字のように響いたのだった。

そんな空想をしながら飲む今日一番安値の発泡酒。そして198円の生ハム。そうとも。これが中年の青春だ。本日、午後五時。仕事を終えたロッカールームでは、期せずして同時に私以外の二人の中高年女性が溜息をついた。その声が頭の中でリフレインしている。おらあいやだぜ。疲れを癒す晩酌が138円の偽ビールと198円のハムだとしても、それをガハガハ笑い飛ばしながら「くわぁ〜っ!うまいっ!」そう言って味わってやるデ。

優勝決定戦を鑑賞しながら。

7時間勤務の日で、一日明るい気分で過ごしたのに、結局、帰ったのはいつもと同じ時刻。さて私は得したのか損したのか。

『29歳』読み中。