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日々のタワゴト                  

▼11/6〜11/7



K病院には無事に救急車で搬送された。

姉の話では、医師からの説明を聞いた父が随分と落ち込んでいたようだ。

今でも父は調理などをして働いているのだが、昨日は店も暇で下に降りることもなく、ときどき姉が居間を覗くとボンヤリとテレビは見ているけれど涙ぐんでいる風で可哀想だったとのこと。

「いやぁ夕べは全然寝れんかったわぁ」と、言っていた。CTを見たときのことを話していて、こことここにかなりでっかい腫瘍があるんだけどな、こっち切ってこっち切って、っこう繋げばなぁ、なんとかうまく行きそうだけどな」ってな究極の素人診断。

カバンをゴソゴソしていると思ったら、孫が全員集合している写真と画鋲を出してベッドの横の棚に貼ろうとしていた。じいちゃん!それ木でないから刺さんないって。わかったから、後で貼っておくから」と、納得させる。

随分いつもガミガミと小言を言ったり若いときは暴力も振るったり、けして仲の良い夫婦ではなかったのに、やっぱり、伊達に60年一緒にいたのではなかったんだな。と、少し暖かい気持ちがこみ上げた。

81歳と79歳の夫婦が、いままでどちらも呆けもせず、大きな病にも罹らず来たことの方が、めずらしいのだから、この試練はやむを得ないこととは思う。

母が「死んだら死んだだ!」と、ふと言った。

「お医者さんは、できることしてくれてるんだから、あとは任せるしかない。」

別に告知もしてはいないのだけれど、母なりに腹をくくっているらしい。

耳も聞こえず、恐ろしい巨漢でもあるため、看護士さんたちが苦労されているので申し訳ない。

しかし、6人がかりでシーツに乗った母を持ち上げてベッドを移動させている姿は、大変深刻な状況でありながら、つい笑ってしまうほどの渾身の大仕事であった。