ブックレビューで『役に立たない日々』が取り上げられていた。取り上げた人は西加奈子。
ここでまた、私の中でくすぶっていた「ぶっちゃけ問題」が再燃。
佐野洋子は、わたしのように諸手をあげて大好き!と思う人々と、抵抗を覚える人々と二種類に分かれるようだ。つまり、ある種の強い毒素があるというのか。今日の書評を担当していた内の一人にも「こうはなりたくない、というところがある。」と云われていたように。
ブログ等を見ても、「現実」から文章として「抽出」する課程には、書き手によって癖がある。
1)素敵派
2)愚か派
3)混合派
4)嫌なこと派
5)オルグ派
その他。
「きょうの出来事」には、美しい部分もあるし、嫌なこともあるし、自分の醜さを感じることも、滑稽さを感じることも起こっている。しかし、それを取捨選択する行為にその人のフィルターの癖がある。意図的な人もいれば、無意識にそうする向きもあるだろう。
ひたすら「きれいな部分」だけを報告したがる人には、憧れと抵抗が相半ば。だからといって「怨念」ばかりは勘弁してほしい。怒ってばっかいる奴もノーサンキュー。啓蒙は、なおさら拒絶反応。
自分の中の汚れたものを偽悪的になるのでなく、「なんじゃこりゃー!」と、吹き出す臓腑の血に驚く松田優作みたいにそのまま表現する人が私には好ましく思われる。まぁ、それらには「グロテスク」と思わせてしまうおそれもおおいにあるんだろうけれど。
今日、「百万円と苦虫女」を見に行って思ったのもそこんところ。最後に蒼井優が書いた弟への手紙が私の思いに近い。
何もわざわざ嫌われる必要もないけれど嫌われる覚悟のない人の核心に触れるのは、無限に難しい。「ホントウノコト」など、どこにもないとしても。そして「汚物」を見せられて辟易された方にはごめんなさいと謝るしかない。
マジックスパイスにてチキンカレー。辛さは「悶絶」を選択。これなら、まだまだ上でもいける感じ。夕飯は手巻き寿司にした。