■ 日 日 夜 夜 ■

日々のタワゴト                  

<シームレス【seamless】>



 シームレス‐ストッキングの略。縫い目のない婦人用長靴下。

*   *   *   *   *

 そもそもストッキングなるものは絹製であった。蚕の絹糸を織った繊維を縫い合わせて作ったものだった。したがって布を脚をピタリと包むのであるから当然縫い目があった。昔の映画や、年代によっては脳裏に残る現実の光景として、縫い目のあるストッキングはなかなかいろっぽく良いものだった気がする。別にガターベルトまで想像を広げなくても。

 このシーム、縫い目が無くなったのはナイロンの発明による。余談だが、ナイロンの語源はノーランだったという記述を見つけた。“伝染しない”という名前。看板に激しい偽りありだ。学校の椅子の跳び出した釘やささくれで何度、ぴりぴりぴりあー!やっちゃったとなったことか。最初は絹の靴下のように、わざわざ縫い目もどきをつけていたが「ないほうが楽!」という使用者の声により縫い目が失われたわけだ。Oh!なんてこったい! きっとポパイもそう言うに違いない。

 女は「便利」を選択し女性としての「生理」を失った。のかも。まあ、私の場合は、生まれつき女としての自覚を欠いていたようだが。単なる縫い目の何処に色気があったのか・・・そこが知りたい。しかし、それは曰く言いがたいものなのだろう。その「縫い目を真っ直ぐにしなくては」という意識がなくなったことが、女の中の「何か」に変化をもたらしたようなそんな気もする秋の昼上がり。(昼前なので)

 わずか一本の縫い目に恥じらいや慎みが縫い込められていたのか・・・。

 ぶっちゃけてしまった中年女は(すまんのぅ)とつぶやきつつ、今日もだらだらと暮らしていくのである。