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日々のタワゴト                  

<ちょう【蝶】テフ >p.1567



  チョウ目のガ以外の昆虫の総称。翅ハネは鱗粉と鱗毛により美しい色彩を現し、1対の棍棒状または杓子状の触角を具える。幼虫は毛虫・青虫の類で、草木を食べて成長し、蛹サナギを経て成虫となる。一般に繭は作らない。種類が多く、日本だけで約250種を数える。胡蝶。蝶々。古名、かわひらこ。 春 (広辞苑より)

  会意兼形声。「虫+音符葉(うすい木の葉、うすっぺらい)の略体」で、木の葉のようにうすい羽をもつ虫。(漢字源より)

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「蝶」という語からの連想。最初に浮かんだのは森英恵・・・あまり好きじゃないので次。

美輪明宏・・装いも、アヤシサも蝶に相応しい方でしょう。歌はちょっと怖いですが一本筋の通った人柄に惹きつけられます。『紫の履歴書』を十八歳で読んだ時も、思った通りの男らしい(?)方だと惚れ直し、それから「おっか好きな人リスト」に記入されたいます。説教好きが玉にキズ。

森進一「花が女か女が蝶か・・」森山良子「あなたに抱かれて私は蝶になる」「蝶よ花よと」。これらの例から、「蝶」は女性一般を象徴することもよくある。「ひらりひらり」と「はんなり」した女性を見ることも、あまりなくなってきたので、蝶のような女性の実勢価格は急上昇中と思われる。

「てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった」(春−安西冬衛)という詩がある。「てふてふ」「韃靼海峡」の読み、話者の目はどこにあるのか、話者は幸福なのか不幸なのかを考えさせる授業が有名である。この詩の表現する感情を四年生に伝えることができているカリスマ教師に心を揺さぶられたことがある。

そして一番印象に残っているのは、たしか中一で習ったヘッセの「少年の日の思い出」である。

こどもだった私には、一読ではラストシーンで蝶を捻り潰した「彼」の気持ちもこの作品の良さも良くわからなかった。そして、段々と少年の複雑な蝶への思いと、そのせつない哀愁が分かっていった。

考えてみると、この作品はこどもから大人への橋渡しの橋脚の一つだったかも知れない。健康的・単純正義感的ものごとの見方どっぷりの「清く正しい」世界から、ひねりが加わった一筋縄では行かない世界を覗き始めた年代だったのかも知れない。

江戸川乱歩の小説なども、あの頃が読み始めであり、やはり蝶のようにアヤシク・ウツクシキ世界が好奇心の強い私を魅了し始めていたのだった。