■ 日 日 夜 夜 ■

日々のタワゴト                  

<ろ‐じ【露地・路地】>p.2559



昭和三十三年生まれの私は、路地といえば西岸良平を思い出す。『三丁目の夕日』の世界。懐古趣味と言われようとも、こども時代は記憶の底に染みついているものだ。

駄菓子屋さんがあり、道にはオート三輪も走っていた。ついでに北海道では、まだ時折、馬車を見かけたものだ。馬具屋、蹄鉄屋さんもあった。

そして、路地にはこどもがいた。

けんけんぱ。ゴム跳び。フラフープ。

まりつき。陣取り。かくれんぼ。

ぽこぺん、ぽこぺん、だれつっついた?

握りしめた今日の小遣いは、十円玉ひとつ。江戸揚げを買おうか、くじをひこうか。

それとも機械のてっぺんから噴水のように吹き出している、あのオレンジュースにしてみようか。

悩みに悩んで使っていた。

下手をすると、知能犯の姉に

「マーガレット買ってきたよ。読み賃残りは明日でもいいよ」

と、そそのかされる。マンガは当時六十円。姉は貯めて大きく使う。しかも、妹二人から読み代として二十円ずつ巻き上げるのだ。一番先に読んで、負担は同じ二十円。(もっと頭使え!あの頃の自分。と思うがもう遅い。)

なんにしても、日がな一日遊び呆けていた。

退屈なんてしたこともなかった気がする。