■ 日 日 夜 夜 ■

日々のタワゴト                  

≪ぱちんこ≫ 広辞苑 p.1941



 狙いを澄まし、ゴムを引く。今だ!と親指と人差し指を離す。小石は真っ直ぐに飛び標的に当たるかと思われた。しかし、本懐を遂げる前に、敵は空へと飛んで行った。玉は杭に当たって跳ね返る。トンボを狙うのは難しい。

 お人形遊びより、路地を走り回ったり、屋根から飛び降りたりするのが好きなきかん坊だった。その所為か声までが、なんともいえない奇妙なものになってしまった。まあ、顔には合っているのか。しゃーない。せめて塩辛声になりたかった。

 昔から枯れた声が好きである。♪あなたは いつでも 愛の後 私の耳を噛み ♪と歌った葛城ユキや、ロッド・スチュアートなど。最近では綾戸智絵の声。

 どういう訳だか、ズーンと来るのだ。いわゆる美声というのは、するっと入ってくる代わりするっと出て行ってしまう。ペンキを塗る時に、板にやすりをかけると、きっちりと塗料が乗るように、イガイガした声は私の胸のどこかにしっとり張り付く。

 一つの名曲がある。♪テ・テ・テ・テレテレ・テーン・テーンとギターが聞こえるとココロハハズム。そこに、いい具合に入ってくるのが♪ラランラ・ララ・ララ・ラーン・ラン♪という変な声。憂歌団の「ぱちんこ」である。

 ♪今日も行けるぜ ラーンラーン(来るゾ来るぞぉわく☆わく☆)

♪パチンコ・パチンコ〜 パチンコーに行くのさー とダムは決壊!

このあたりで、もう絶頂です。

 心は二股の木(パチンコ)から放たれた小石です。

青い空にピューンと飛んでいくのです。

       ×   ×   ×   ×   ×   

 今日から、辞書で選んだ言葉の意味を引用させてもらうことにする。

(1)ピストルの隠語。はじき。(2)ふたまたの支軸にゴムを張り、小石などをはさんで飛ばす玩具。(3)前面がガラス張りで、釘などの障害物とともに数箇所の穴を設けた縦型の台に鋼鉄の小球をはじき、当たり穴に入ると多数の玉が出る遊戯。

                      広辞苑第三版より

 毎回、辞書を開くと一発で言葉を選ぶ訳ではない。その都度いくつかの候補が挙がりノミネートされる。さらに私の頭の中で凌ぎを削る選考会が催され、良しこれで、となると栄えあるその日の御題に輝くわけである。

 今日の場合は、エントリー潤・ 「ぱちぱち」。潤・「はちべえ【八兵衛】」潤・「ぱちんこ」潤・「罰」の精鋭が候補となり、ファンファーレとともに「ぱちんこ」さんが選ばれました。

 昨日の本:佐々木丸美舞姫』。鶴の恩返しと『ガラスの仮面』が一緒になってやってきた。取ってつけたような、設定は持ち味として、主人公の目指したのがミュージカル俳優だったというあたりで・・・相容れませんでした。

向田邦子全集一』:こちらは再再々読くらいになろうか。拾い読みのつもりだが世界に入ってしまう。もしも願いが叶うなら新作が読みたいものだ。と読むたび思う。

 昨夜は、娘らの部屋に泊まる。一緒に寝る券を一枚使う。これは、娘達が申し込み、私が認めた場合だけに使われる券である。寝る前、上の娘が箪笥からパジャマを出した。

「お母さん!」

と呼ぶので振り返ると、ズボンの方を右手持ち高く上げた。巻かれていた、それは、綺麗にクルクルクルっと広がった。と同時に娘の「無罪です!!」の叫び!お母さん大受け。